【映画評】ガチ☆ボーイ
一晩寝ると昨日の記憶を失う青年のガチンコな生き様に涙するスポ魂青春映画の傑作。
【満足度:★★★★★】(鑑賞日:2008/03/01)
廃部の危機におかれた大学のプロレス研究会に入部した三年生の五十嵐良一(佐藤隆太)。
先輩たちの教えをきっちりメモにとり、ことあるごとにポラロイドカメラで皆の写真を撮るまじめな青年だったが、実は彼、大学在学中に司法試験も合格するんではと噂されるほどの天才だった。
そんな五十嵐にしては学生プロレスで重要な“段取り”をいつまでたっても覚えられなかったのだが、やがて“マリリン仮面”というリングネームを与えられ、ついにデビュー戦の日を迎える。が、先輩に負ける予定だったこの試合であろうことか勝ってしまう五十嵐。しかし観客には大ウケで、彼は人気レスラーの道を歩み始める。
だが五十嵐にはもっと重大な秘密があった。彼は昨年自転車で事故に逢って以来、新しいことが覚えられない、一晩寝ると前日のことをすべて忘れる「高次脳機能障害」だったのだ…。
ありがちであざとくもある設定。とりたてて意外性のない、結局何も解決しない結末。にもかかわらず心揺さぶられずにおれないクライマックスのガチンコ勝負。
ありきたりな言い方だが、笑って泣ける痛快な青春映画だ。二時間という上映時間がこの手の作品にしてはちと長いかもと危惧したが、まったくの杞憂だった。
前半でさりげなく張られた伏線ひとつひとつが見事に回収されていく後半は涙腺が決壊しっぱなしで、嗚咽しそうなほど泣けたのは何年ぶりか。
五十嵐を演じた佐藤隆太の演技が素晴らしい。人生そのものが逆境という状況、毎日繰り返される絶望と不安、それでも決して笑顔を忘れない好青年・五十嵐を見事に演じきっている。体を張ったプロレスの試合もまったく違和感がなく、彼の真剣なまなざしが勢いに頼りかねないクライマックスに一抹の疑念も抱かせないリアリティを与えていて感動的。
そして彼を囲う脇役の面々も、父親を演じた泉谷しげるを筆頭に曲者揃いの個性派たちなのに出しゃばりすぎず、それでいてきっちりとキャラの立った芝居で映画を盛り上げる。
記憶に残らない毎日なんて生きてるとは言えないと嘆きながらも自分の生きる道を模索し、その生き様を観客に見せつける五十嵐の姿に、振り返れば記憶障害など持たない自分たちだって平凡で変わりばえのしない毎日を繰り返しているだけ、そこに自分の生き様はあるのかと自問自答させられる。ポラロイド写真に残る五十嵐の笑顔がまぶしい。
プロレスなんてと斜に構えず、すべての人に観て欲しいスポ魂青春映画の大傑作。
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【キャスト】佐藤隆太/サエコ/向井理/仲里依紗/川岡大次郎/瀬川亮/西田征史/中谷竜/小椋毅/久保麻衣子/フジタ“Jr”ハヤト/宮川大輔/泉谷しげる
【監督】小泉徳宏
【製作】亀山千広/阿部秀司/島谷能成
【企画】清水賢治
【プロデューサー】織田雅彦/安藤親広/明石直弓
【アソシエイトプロデューサー】稲葉直人/小出真佐樹
【ラインプロデューサー】中林千賀子
【原作】蓬莱竜太『五十嵐伝~五十嵐ハ燃エテイルカ~』
【脚本】西田征史
【音楽】佐藤直紀
【撮影】葛西誉仁
【照明】佐藤浩太
【録音】渡辺真司
【美術】五辻圭
【装飾】龍田哲児
【監督補】川村直紀
【スクリプター】山縣有希子
【編集】森下博昭
【音響効果】大河原将
【助監督】吉田和広
【制作担当】濱﨑林太郎
【劇中使用曲】『暴れだす』
[作詞/作曲]トータス松本
[演奏]ウルフルズ
【主題歌】『ヒラヒラヒラク秘密ノ扉』
[作詞]高橋久美子
[作曲]橋本絵莉子
[演奏]チャットモンキー
【製作】フジテレビジョン/ROBOT/東宝
【制作プロダクション】ROBOT
【配給】東宝
【公開年】2008年
【製作国】日本
【上映時間】2時間
【公式サイト】http://www.go-go-igarashi.jp/
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受信: 2008年3月 4日 (火曜日) 20:24
» 「ガチ☆ボーイ」 [古今東西座]
これを読んでいるオジサン世代に聞いてみたいのですが… 以前、金曜日の夜8時に、テレビは何を選んで観ていましたか? まぁ、この答えで何となくその人がどんな人なのか分かってしまうわけです(←ウソ)。僕は… 『太陽にほえろ』『3年B組金八先生』は観たことがありませんっ! ってな人です。そう、 『ワールドプロレスリング』一筋 だったということです。力道山がデストロイヤーに4の字固めをかけられ苦しんでいるのを母がテレビで観戦していた時に陣痛が起こり、そのまま誕生した僕なのです。云わば生まれる前から... [続きを読む]
受信: 2008年3月 4日 (火曜日) 22:02
» 人が人に求めているモノ。『ガチ☆ボーイ』 [水曜日のシネマ日記]
大学プロレスを始めた記憶障害を抱る大学生の物語です。 [続きを読む]
受信: 2008年3月 4日 (火曜日) 23:03
» 【映画】ガチ☆ボーイ [新!やさぐれ日記]
■動機
プロレス好きの友人を誘ってみよう
■感想
フジテレビのくせに(まて)やるじゃないか!
■満足度
★★★★★★★ まんぞく
■あらすじ
大学生の五十嵐良一(佐藤隆太)は突然プロレス研究会に入部するが、何でもメモを取る割に学生プロレスで一番大事なこととされる「段取り」を覚えられずにいた。そんな中、商店街でのデビュー戦を迎えた良一は、段取りを忘れたために本気でガチンコの試合をすることになるが、それが観客にウケて一躍人気レスラーになってしまう。
■コメント
プロレス好きの友人に... [続きを読む]
受信: 2008年3月 8日 (土曜日) 17:13
» 【2008-54】ガチ☆ボーイ [ダディャーナザン!ナズェミデルンディス!!]
人気ブログランキングの順位は?
青春☆ガチンコグラフィティー。
アタマはどんなに忘れても
カラダはちゃんと覚えてる
これが僕の生きてる証
[続きを読む]
受信: 2008年3月13日 (木曜日) 22:06
» ガチ☆ボーイ [佐藤秀の徒然\{?。?}/ワカリマシェン]
小泉徳宏監督、佐藤隆太、サエコ、仲里依紗、泉谷しげる。重い深刻なテーマと軽そうな学生プロレスとの組み合わせ。一見、バランスが合わないようで実に合っている。 [続きを読む]
受信: 2008年3月22日 (土曜日) 18:18
» ガチ☆ボーイ [to Heart]
青春☆ガチンコグラフィティー。
製作年度 2007年
上映時間 120分
脚本 西田征史
監督 小泉徳宏
音楽 佐藤直紀
出演 佐藤隆太/向井理/サエコ/川岡大次郎/瀬川亮/宮川大輔/仲里依紗/西田征史/泉谷しげる
TOHOシネマズ、レディースデイの為、ヘルニアもとい、プレミアスクリーン上映も1000円♪
それも嬉しかったけど、コレがなかなかイイ作品でした〜{/body_stand/}
{/book_mov/}大学生の五十嵐良一(佐藤隆太)は突然プロレス研究会に入部するが、何でもメモを取る... [続きを読む]
受信: 2008年3月27日 (木曜日) 12:05
» [遅ればせながら、映画『ガチ☆ボーイ』を観た] [『甘噛み^^ 天才バカ板!』]
☆私の死んだ親父は、大のプロレスファンだった。
母親と結婚した新婚旅行の北海道で、母親をほったらかしにして、テレビのプロレス中継に夢中になり、いきなり夫婦ゲンカをしたそうだ^^;
そんな話を思い出しながら、私は、MOVIX昭島での、『ガチ・ボーイ』公開最終日のレイトショーに行った。
# # # #
物語は、司法試験の一次までも合格した大学3年生の真面目君が、プロレスに魅せられて、プロレス同好会に入部して活躍する青春物語だ。
しかし、物語は、それだけでは終わ... [続きを読む]
受信: 2008年3月30日 (日曜日) 19:33



![2008/05/21 発売: ALWAYS 続・三丁目の夕日[DVD豪華版]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/11JPw-sKaiL.jpg)








コメント
かなり盛り上がってますね、この映画。
>前半でさりげなく張られた伏線ひとつひとつが見事に回収されていく
何か単なるおバカ映画のくだらないギャグ(嫌いじゃないです)かと思いきや、そんな中にも病気のこと隠れたりしてるんですよね。
>父親を演じた泉谷しげるを筆頭に
病気によって変化する父親との関係はかなり「決壊」に拍車をかけますね。ガチンコ・プロレスで人気が出たことにより、記憶が残らない分やっている瞬間のみが、彼にとって生きている証のようになり、それが回りをも熱くさせてしまう。ウルフルズの挿入曲の入るタイミングも絶妙で、後は一気にラストまで釘付けでした。
投稿 ジョルジュ・トーニオ | 2008年3月 5日 (水曜日) 09:18
>ジョルジュ・トーニオさん
コメントありがとう。
泉谷しげるということで、暴れ出しちゃうような父親かと思いきや、抑えた演技で息子との間に出来てしまった溝に悩んでいる感じが伝わってきて良かったです。
プロレスという題材ゆえに観る人が限られちゃうのがもったいない良作でした。
投稿 かみぃ | 2008年3月 5日 (水曜日) 10:56
こちらにもカキコ♪
コメディテイストの作品かなと思いきや、良い裏切り感で感動しました。(^^
映画評参考になりました。
また覗きに来ますね♪
投稿 ツッキー | 2008年3月 5日 (水曜日) 13:42
>ツッキーさん
コメントありがとう。
またいらしてくださいね。
投稿 かみぃ | 2008年3月 5日 (水曜日) 15:11