【コラム】2006年上半期映画寸評
『Mr.&Mrs.スミス』(ダグ・リーマン監督)
【満足度:★★★☆】(鑑賞日:2005年12月31日)
アクション映画というより、ド派手な夫婦喧嘩の映画だな。
すれ違い夫婦のやりとり、駆け引きが可笑しくていい。
あまり期待していなかったけど、予想外に楽しめた。
自分は未婚だし、身につまされないのが幸いしたか。
倦怠期の夫婦orカップルだったら素直に楽しめないかも!?
『キング・コング』(ピーター・ジャクソン監督)
【満足度:★★★★】(鑑賞日:2006年1月1日)
古典的な名作を最新VFXでリメイク。
『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズで名匠の仲間入りをした監督が思いの丈をぶち込んだ感じがひしひしと伝わり、ピーター・ジャクソン節を満喫できた。
コングの人間じみた表情やしぐさにぐっとくる。ヒロイン役のナオミ・ワッツもいい。
1933年のニューヨークを再現したVFXには一切の隙無し。恐竜たちのダイナミックな描写も凄いの一言。
ただ、肝心のコングの動きに多少の違和感を感じるときがあり、ちょっぴり残念。ここまで緻密にできていると、かえって細かい部分が気になってしまい、予想したほど感情移入できなかった。
『あらしのよるに』(杉井ギサブロー監督)
【満足度:★★★☆】(鑑賞日:2006年1月2日)
子供も楽しめる内容にも関らず、見事に泣かされた。
“友情”というテーマをストレートに、かつ、楽しく描いていて好感度が高い。
その一方、容易に答えの出せない“社会の中での個のあり方”まで問いかける奥の深さも見せる。
クライマックスがとって付けたようなエピソードで、そのあたりに“子供向け”を意識させられてしまうのが惜しいが、オオカミとヤギに抽象化された内容には大人でも考えさせられる点が多い、良質な一本。
『東京ゾンビ』(佐藤佐吉監督)
【満足度:★★☆】(鑑賞日:2006年1月2日)
前半は強調していいほどにつまらない。
シュールな可笑しさを狙っているのだろうが、まるで笑えないのだ。
クライマックス、それもかなり終わりに近いところまで来てやっと波長が合ったようで、結構盛り上がり、さらに感動までしてしまった。
総合的には人に薦められるような水準ではないのだが、気持ちいい余韻に浸れたのは嬉しい誤算だった。
『男たちの大和/YAMATO』(佐藤純彌監督)
【満足度:★★★★☆】(鑑賞日:2006年1月3日)
東映が社運を賭けているかのような力作。
戦争を検証するようなドキュメンタリーとしてはまるでヌルいと思うが、涙を誘う群像ドラマ映画としては上出来だろう。
ハリウッド大作を見慣れた目で見ると、巨大セットもCGもまだまだチープさが抜け切れていないが、戦闘シーンの体を張った手作り感はそういったものでは替えられない凄みがあって素晴らしい。
付け加えると、自分は広島出身なんだが、蒼井優の広島弁には完全にしてやられた。
『輪廻』(清水崇監督)
【満足度:★★★】(鑑賞日:2006年1月7日)
清水崇監督の新作ということで期待してたんだけど、ちょい低調か。普通によく考えられた良作ホラー。
こちらが監督の恐怖演出に慣れてきちゃってるせいかもしれんけど、あんまり怖くなかった。「過去にホテルで起こった残虐な大量殺人事件」という設定で恐怖感を煽っている割には期待負けしてる。
最後の“ひねり”も丁寧すぎる伏線から予想される範疇。本気でどんでん返しを狙ってはいないんじゃなかろうか。
ストーリーでの驚きは乏しく、有無を言わせぬ恐怖体験でもない、どっちつかずな印象。
優香は期待以上の演技で良かった。
『フライトプラン』(ロベルト・シュヴェンケ監督)
【満足度:★☆】(鑑賞日:2006年2月5日)
話が荒すぎて、まるでのめり込めない凡作。
個人的に出演作との相性がいいジョディ・フォスターの新作ということで期待していたのに、あまりに退屈な内容にがっかり。
こういう作品は緻密な脚本で外堀を埋めていかないと絵空事に陥ってしまうという典型。
ジョディの狂気じみた行動にも、事件の真相にもリアリティが皆無。
残念。
『雪に願うこと』(根岸吉太郎監督)
【満足度:★★★★☆】(鑑賞日:2006年6月3日)
重すぎず、かといって軽すぎず、じんわりと身に染みる静かな感動の佳作。
断っておくと、自分はこの作品の関係者ですが、それを抜きにして、素直にいい作品だと思う。
何年も前に親元を離れ、都会の片隅で大成することなく、かれこれ何年も親元に戻っていない自分には特に刺さるモノがあり、作品とは別のところで胸が締め付けられる。
『初恋』(塙幸成監督)
【満足度:★★★】(鑑賞日:2006年6月10日)
自分が闘争の時代を知らないせいもあろうが、前半がつらい。作品からこの時代の空気感が伝わってこない。
後半の、かの三億円事件の計画が動き出してからは悪くないし、撮影も結構凝っていて見るべきところはあるのだが、そこに至る伏線たる前半が弱いので取って付けた感が否めない。
タイトルにもなっている恋心の描写も、出だしでつまずいているので盛り上がれない。
惜しいと思わせるだけの力は感じるが、正直言って人には勧めにくい凡作。
『LIMIT OF LOVE 海猿』(羽住英一郎監督)
【満足度:★★★★】(鑑賞日:2006年6月14日)
テレビドラマ版は観ていないのだが、映画版1作目と同様の良質エンターテイメントに仕上がっていた。
内容的にはやはりベタな展開だけど、こういう職人芸的にまとめられた安心して観られる作品は嫌いじゃない。
上質のCGも多用されているが、俳優陣もスタッフも体を張った水中撮影にこそ見応えがある。
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