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2004年7月12日 (月曜日)

【映画評】うつしみ

少女は愛という名の本能の赴くままに突っ走る!

【満足度:★★★】(初掲:2000年12月31日 映画徒然文集

 おでん屋の男(鈴木卓爾)に惚れた女子高生の少女(澤田由紀子)は、彼にヴァージンを奪って欲しいと、いきなり「して!」と迫る…。

 はっきり言って、この作品(というか、園子温監督作品全般)を目にすることのできる機会はあまりないと思われる。
 確信的にマイナー路線であり、ビデオ化も監督の意向によりされないらしい。
 この場で採り上げることすら躊躇したが、地域は限られていても劇場公開している作品であるので、避ける理由にはなるまい。

 冒頭の導入部は実は劇中劇の話で、実際の導入はこの作品を準備中の園子温たち撮影スタッフの様子から始まる。
 出演者に写真家のアラーキーこと荒木経惟や舞踏家・麿赤児、ファッションデザイナー・荒川眞一郎らが名を連ねるが、彼らは皆、このドキュメンタリー部分に出演する。
 ドキュメンタリータッチの導入部から劇中劇がメインとなり、やがて作品は詩人でもある園子温の詞的世界へ結実していくという巧みな構成が目を引く。

 愛なのか性欲なのかわからぬ本能に突き動かされて渋谷の街を走る、とにかく走る少女や男の姿から空っぽの「うつしみ=虚身」が「現身」を求める衝動を描き出す。
 そして作品としてのそれらを形作る虚身たる女優・澤田由紀子を筆頭に、彼女を虚身たらしめる写真家・荒木経惟、着られる器である衣装を作り出す荒川眞一郎、撮影スタッフ、さらには園子温監督自身ともダブる「虚身」という存在。この作品に映し出されるすべてが虚身なのだ。しかしそれらは皆、待つ受け身としての虚身ではなく、現身を求めて走る、走り続ける。

 作品自体が抽象的なテーマを全面に押し出しているがゆえ通常の批評文にはなりにくいが、単純に面白かったです。機会があったらぜひご覧あれ。

【キャスト】荒木経惟/麿赤児/荒川眞一郎/鈴木卓爾/澤田由紀子/津田牧子/桜井加奈/幸野賀一/銀治/飯田まさと/森山知之/ジーコ内山/笛木一司/杉山正弘/矢田真三彦/濱口圭子/永森シーナ/富沢恵美/大駱駝艦の面々
【監督/脚本/撮影/編集】園子温 【撮影】小坂井徹/杉山正弘/小林康宏/鈴木桂子 【助監督/制作】西川裕/小林康宏/杉山正弘/藤丸俊樹/吉田俊次 【美術】鈴木桂子/西村喜広 【制作助手】鈴木文乃/小林三ちこ 【撮影協力】鈴木一博 【録音協力】小林徹哉 【衣装協力】SHINICHIRO ARAKAWA/プルセラLip 【エグゼクティブ・プロデューサー】越後谷卓司
【企画】愛知芸術文化センター
【製作年】1999年 【製作国】日本 【上映時間】1時間48分

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