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2004年7月10日 (土曜日)

【映画評】さくや 妖怪伝

妖刀村正を手に悪しき妖怪たちをなぎ倒してゆく少女・咲夜の活躍を描いた痛快娯楽怪奇時代劇!

【満足度:★★★★★】(初掲:2000年9月3日 映画徒然文集

 霊峰富士の噴火とともに黄泉の国より復活した悪しき妖怪たちを倒さんとする公儀妖怪討伐士・咲夜(安藤希)の活躍を描く痛快娯楽時代劇。

 主人公・咲夜を演じる安藤希が、めちゃくちゃかっこいいっ!この快作の魅力はこれに尽きる。あたしゃ、咲夜に惚れました(笑)。
 妖怪たちを倒しながらの旅、最後はボスキャラとの決戦というストーリー自体は単純明快で、相当にこども向けを意識した作品なのだが、それゆえに日本映画史上に残すべき最高のヒロインが誕生した。
 妖怪を倒すことのできる唯一の武器、妖刀・村正を咲夜が呼ぶ「ムラマサーッ!」の叫びは、仮面ライダーの「ヘンシン!」に匹敵する名セリフとして耳に残り、おまけにその村正が炎に包まれて飛んでくる様はウルトラマンの変身シーンを思い出させて目に焼きつく。
 そう、これは往年の名作ヒーローもののノリそのものなのだ。

 安藤希の演技はところどころにまだぎこちなさが残るが、村正を構えた凛とした立ち姿など、咲夜役はもはや彼女以外考えられないという好演。
 強いヒーローの誕生には魅力的な敵の存在が不可欠。それを大女優・松坂慶子が演じているのだからこれ以上ないキャスティング。よくぞやってくれました。作品に花を添えるとかのレベルではない素晴らしい貫禄。
 志半ばで倒れる先代公儀妖怪討伐士で咲夜の父親役を仮面ライダーの藤岡弘が演じているのも粋なキャスティング。和服姿はせがた三四郎を思い出させるけどね。
 このほか、霊界伝道師の丹波哲郎、『帝都物語』の嶋田久作や『鉄男』の塚本晋也などなど、曲者ぞろいでキャスティングだけでも楽しませてくれる。

 富士山の噴火ほか、多用されたCG合成がこれまた素晴らしい一方で、やけにチープな特撮があったりして、これがまたこの作品世界では妙に味があっていい。特撮もお金さえかければいいというもんじゃないと再認識させられる。妖怪は着ぐるみ、人魂は釣りでいいのだ。

 こどもをターゲットにした単純明快な作品にしては、脚本も比較的練られている。取って付けたような社会問題を織り込んだり、意味のない複雑な人間関係などで小難しくしない代わりに、無駄を省いてよく煮詰めてある。ファンタジーとしての作品世界がしっかりしているということ。
 使い手の寿命を奪う妖刀・村正やその使い手の残りの寿命を示す魂計燈(こんけいとう)なども物語を盛り上げる小道具としてちゃんと機能している。これは当然のことのようだが、そんな当たり前のことができていないのが日本映画の由々しき現状。
 またこれは脚本にはないのだろうが、エンドクレジットにもスタッフの遊び心が感じられて、この作品の印象をたいへんよくするのに貢献している。

 客層を選ぶ内容ゆえに大ヒットは難しいかもしれないが、ぜひともシリーズ化して欲しい。心配なのは大人の鑑賞に耐えうる脚本を継続できるかどうかだけ。今回以上に特撮にお金を掛ける必要はない。惚れちまった1ファンとしては、頼もしく凛々しい咲夜にまた会いたいだけなのだから。

【キャスト】安藤希/山内秀一/嶋田久作/逆木圭一郎/黒田勇樹/絵沢萌子/塚本晋也/石倉英彦/吉田桂子/丹波哲郎/藤岡弘/松坂慶子 【語り】竹中直人
【原案/監督】原口智生 【製作代表】福島真平/鈴木修美 【プロデューサー】大戸正彦/大塚博史/桜井勉 【脚本】光益公映 【コンセプトデザイン】冬目景 【撮影】江原祥二 【音楽】川井憲次 【美術】原田哲男 【照明】土野宏志 【録音】中路豊隆 【編集】奥田浩史 【特殊技術統括】尾上克郎 【特技監督】樋口真嗣 【主題歌】『地平線』 [作詞/歌]chiaki [作曲]木暮武彦 【挿入歌】『月の光の子守歌』 [歌]松坂慶子 [作詞]光益公映 [作曲]川井憲次
【製作年】2000年 【製作国】日米合作 【上映時間】1時間28分

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 現在やっているテレビドラマの仕事で出演していた安藤希さんの収録が昨日のセット撮 [続きを読む]

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